原因を探る

(彼の件に関して言えば)幸い、血気の多い受験生は他人のことにかまっていられない時期に差し掛かっていましたし、教室に通っている同級生たちは男女とも「幼馴染」に近い間柄だったため、以前ほど積極的ではないにしろ、私の授業には比較的よく足を運んでくれていたのですが、それも徐々に減り、昼間の空いた時間にだけ「特別にお願いします」というお母さんの申し出があり、やむを得ずこれを受け入れることにしたのです。

1対1の授業ということで、これは非常に珍しいケースだったのですが、しかしそれだけ彼の心の部分に近づくことができたというのは紛れのない事実でした。つまらない冗談を言っても、これまでと同じように笑顔を見せ、それほどまだ深くまで傷ついていないように私には感じました

彼に直接聞いてみた

そうした「特別授業」をはじめて、一番厳しい受験もなんとか乗り越えることができ、ほっとひと息というタイミングで、私は彼に「いったい何があったんだ?」と訊いてみました。実は、私は彼には一切内緒にして、彼と仲が良い友だちにいろいろ探りを入れていたのですが、どうやら彼本人からこれに関しては口止めされていたようで、いくら訊いても「わからない」、心当たりも「ない」の一点張りだったのです。

彼は私に訊かれてちょっとハッとしたような表情を見せましたが、すぐに視線を下に落としました。私は詰問するつもりはなかったのですが、もうひと押しだけしてみようと思い、さらに質問を続けました。

ひとつの「答え」

すると彼は、「○○○って知ってる?」と、逆に私に訊いてきたのです。何か英語のような、人の名前のような、とにかく不思議な響きだったのですが、いずれにしても私はまったく聞いたことがないことばでした

彼はとてもアニメが大好きな少年であり、これはいわゆる「アニメオタク」という種類の属するのかな、と漠然と感じてはいたのですが、その「○○○」というのは、どうやらアニメのキャラクターだったのです。

彼の話では、そのアニメのキャラクターの名前をあだ名にされ、からかわれたことがショックであり、その結果、学校に行きたくなくなったという、まあこう言ってはナニなのですが、非常に幼稚な理由で「不登校」という選択肢をたどったというのです。

違和感を覚えた

その夜、私は教室に来た彼の友だちのひとりに、かの「○○○」といのを知っているかと訊いてみました。彼もアニメが大好きで(というか、そのつながりで仲良くなった?)あり、彼はもちろん知っているという風情で得意顔をして「はい」と言いました。

私はそれがどんなキャラクターであるのか説明するように言うと、どうやらそのキャラクターの説明はとても難しいらしく、彼は戸惑っていました。しかし、そのキャラクターに関するやりとりをしたところで、他の生徒はまったく無関心を装っていたため、私は何かおかしいと、違和感を覚えました。

というのも、もしもそれが原因で彼が不登校になったのだとすれば、友だちか他の生徒が何らかのリアクションを示すと考えたからです。


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