逆鱗に触れるのを恐れて

考えてみれば、彼は同い年の男子の逆鱗に触れるのを恐れて「不登校」という選択肢を歩んだわけですが、彼も当然進路のことが頭に入っていないわけではありません。

彼のお母さんとも話を重ねましたが、彼は学校には行きたくないとい言い続け、そして学校の先生も、「もし無理をして大ごとになってしまったら大変だから」という、まるで彼が学校に行かないことが先生にとっては「大ごと」ではないと考えているかのような不思議な言い方で、「学校に来られないのは仕方がない」という見解を示し、しかし内申については、学校にさえ来ていれば、テストがすべて「0点」であってもそれぞれの教科で「1」がつくものの、学校でテストを受けない以上は、「1」さえつけることはできない(つまりは、「オール1」よりも低評価となる)ということだけは覚悟してくださいと言われたのだそうです。

教師と不登校

私はその話を聞いて、学校の教師というのはずいぶんとラクな仕事なのだなと、そのとき思いました。とすると、「不登校」という状況をどう打開するか!焦点はただそこに絞られたことになることを私は理解しました。

彼を説得するためには、その手法としてやはり事実関係を知らなければならないと一瞬考えたものの、彼をそれ以上傷つけることだけは私にはできず、幸い私は警察の人間ではないので、彼は「あだ名で不登校になった」と思いこむことにしました

3年生に入り、大事な1学期を「不登校」という形で終えようとしていました。そして夏休みに入って早々、いよいよ彼とそのことについて1対1で話さなければならない日がやってきました。いくら話しても聞く耳を持ってくれないから、何とか先生のほうから説得をお願いしますという申し出があったのです。

投げやりに

私はまず、彼が都立高校の志望ということで、都立高校の入試制度についてできるだけ詳細を説明しました。そして彼に「今のままだと内申がまずいことになるのは理解できているのか」という質問をしました。

すると彼は「定員割れしている学校に行くからいい」と言いました。定員割れしてれば全員合格できるものと考えていたのです。それは間違いであるという認識を諭すと、今度は「それならば高校なんていかない」と、そう言いだしました。

高校に行かないでどうする?と訊くと、彼は、もう先のことなんて考えたくない、とにかく学校には行かない、友だちなんていらないし、高校なんて行く必要はないと言いました。そして最後に、「家族がいればそれでいいよ。先生になんて俺の気持ちはわからないよ」と、どこか投げやりに彼は言いました。

衝突

私は無性に腹が立ちました。彼のことばの内容や、ことばのトーンや、そんなこととは別に、どうして彼だけがこんなに苦しい思いをしなければならないのかと、そんなふうに感じたのです。

もちろん、原因は彼のほうにあるのかもしれないけれど、それにしてもどうして彼にはこんなに味方が少ないのだろうと思うと、なぜか無性に腹が立ったのです。

ああわからねぇよ!お前の気持ちなんてわからねぇ!俺はお前とは他人だ!アカの他人だ!わかるはずがなねぇんだよ。でもよく考えろ、君の本当の苦しみを君の家族の誰が理解している?どうしてこんなことになってしまったのか、その本質を君の家族の誰が理解しているんだ?


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